私は新卒で三井物産に入り、ICT事業本部で北米と日本のスタートアップへの投資管理と、三井物産の事業アセットを使った新規事業の立ち上げに携わりました。新規事業では、社内のベンチャースタジオであるMoon Creative LabにEIR(客員起業家)として出向し、IDEOなどのコンサルティングファームと協働しながら、デザイン思考による事業立ち上げに従事しました。
そこで痛感したのは、新規事業を任された人が、どれだけ多くの時間を「事業そのもの以外」に使っているかということです。事業開発の経験しかないコアメンバーが、開発やデザインの人材を自分のネットワークから探してチームを組む。3か月から6か月ごとに来る継続審査に向けて、目に見える進捗をつくり、審査用の資料を整える。事業を前に進めたい人が、そのための準備に追われていく。その後、創業期のITスタートアップ、北海道での中小企業の経営支援と場所を変えても、同じ光景を見ました。
妻の地元である沖縄に移り、縁があって、OISTのインキュベーターに入居する外国人起業家の仕事を手伝うことになりました。彼らは世界水準の研究を持ちながら、日本語でしか進まない融資の申請や、経理・労務の手続きの前で立ち止まっていました。そして同じ状況の起業家が、インキュベーターの中に何人もいました。英語で実務を引き受けられる会社が、この場所に必要だと思いました。2023年6月、それがHAKKIの始まりです。
起業家であれ、大企業で新規事業を任された人であれ、リスクを負って新しい事業に挑む人は、自分の強みに時間を使うべきだと考えています。新規事業担当者の武器になる機能を、必要なときに機動的に届ける。そのために必要な実務を、私たちが引き受ける。最初の仕事は、ブラザー工業の新規事業に営業マネージャーとして一人で入ることでした。以来、事業責任者との議論を通じて必要と判断した機能をHAKKIが調達し、サービスとして提供し続けています。いまは社員4名とプロフェッショナルメンバー10名で、大企業の新規事業と、研究開発型のスタートアップを支えています。
沖縄には、挑戦する人を応援する空気があります。10年後、「スタートアップをやるなら沖縄」と言われる場所にしたい。ここから世界を目指す会社を、裏側から支え続けます。